2009.04.19 かすみがうらマラソン 完走記  

 かすみがうらには、天使と魔物が住んでいる。 自己ベストも自己ワーストもかすみがうらだ。

 今年に入って、勝田、荒川、佐倉、3本のフルマラソン、すべて3時間ヒトケケタでクリアした。 今週はかすみがうら、来週は掛川、2週連続のフルマラソンは、初挑戦だ。 ただ、完走するだけならできるに決まっている。 やるからには、両方とも、3時間ヒトケタ(10分切り)を目標にした。

 3週間前の佐倉マラソンで、後半追い上げる走りができたので、気をよくしていた。 かすみがうらの3時間ヒトケタは、問題ないように勘違いしていた。 問題は、2本目の掛川だと。

 しかし、後で冷静に考えると、直前に1万mの練習で、夜間にもかかわらず40分を切るのに必死こいている状態、昼間、気温20度以上という条件下では不可能な状態であったのだ。 1万mの40分切り=マラソンの3j時間10分の条件だ。

 いろいろ反省点はある。

 まず、上野発8時00分の特急の指定席を取ったが、正解は、7時30分発であった。 実際、早目に家を出たため、7時30分には上野駅にいたのだ。 自由席に乗って立っていこうかと迷ったが、座って行く方を選んだ。 何とも、ちぐはぐだ。

 会場についたら、荷物預けとトイレしか考えない。 この大会は、ゼッケンとRCチップは事前に送られてくるのは助かる。 しかし、年々増加する参加者に、駅から混んでいるし、トイレは、20分もかかった。 スタートの並びは、最後尾の位置から入るので、スタート20分前でも、前のブロックに到達するのがやっとであった。 ちなみに、この大会、最前列のブロックは、陸連登録者だが、年齢制限があり、35歳以下となっている。

 快晴。 気温17度のアナウンス。 レース中、20度越えは間違えないだろう。 ならば、と荷物預け前に、ペットボトルの水を頭からかけた。 昨年の北海道マラソンで、3時間06分台で走っていることが、自信になっている。 暑い時は、水をかけるに限るのだ。すでに、500mLのアクエリアスは、起きてから少しずつ飲み干している。 暑さに対抗する準備はできていると思った。

 しかし・・・である。 暑さによる障害は、絶対気温ではないのだ。 夏の北海道は、確かに、気温は30度に達することもあるけれど、関東地方のうだるような猛暑に比べれば涼しいのだ。 逆に、2003年、高橋尚子を筆頭に我々市民ランナーが大失速した東京女子記念マラソンのように、前日まで涼しいのに、急に気温が25度ということになると、たとえ11月でも厳しいのだ。

 そういう意味で、4月のマラソンは最悪だ。 身体が暖かさ、暑さに慣れていないからだ。 私がかすみがうらでベストを出せたたのは、前日までのポカポカ陽気が一転、当日は冬の寒さに逆戻りしたからだ。

 ということで、そもそも、3時間10分という設定に無理があった。 でも、それは、後から思うことなのだ。

 3時間10分をぎりぎりき切るためには、キロ4分30秒を通せばいい。 特に、かすみがうらのコースは後半がフラットなので、前半の貯金は無用。 4分30秒イーブン!!! これを決め込んだ。

 計画通り、15キロまでは、おもしろいようにぴったり進んだ。 7キロあたりで、背中に天使の羽をつけている女性ランナー(以下エンジェルさんと呼ぶ)が目についた。 小柄でリズムよく安定した走りかたで、かなり走り込みをしていると見えた。 ずっと黙って付いていくのも失礼かと思って、「羽、気持ちいいですか?走りにくくないですか? ペースがいいので、付かせてもらいます」と声をかけた。 「羽を見て応援してくれるのでうれしい。 そんなに邪魔にならないですよ」みたいに答えてくれた。 明るい人でよかった。

 スタートロスの20秒は、10kmまでに飲み込み、10キロ通過は、45分00秒 おお、ぴったりキロ4分30秒ではないか。 続いて、15キロ通過は、1時間07分32秒
 ここまで完璧! と思ったが、実は、それまでに致命的なミスをしていた。 暑いレースでは、頭から水をかける。 そうすれば、涼しく走れる。 というのを公式にし過ぎていた。 北海道マラソンでは、スポンジがあるが、かすみがうらには1か所もない。 これは、決定的な違いだ。 北海道では、スタート15分前に水をかけれるが、かすみがうらでは、荷物預けをする50分前。 運動もしていないのに水をかけると身体が冷えて尿意を感じるのだ。 水をかけなくちゃ、ということと、尿意が強まる心配。 この2点から、給水が不十分になってしまった。 給水所の水は、半分飲み、半分頭からかける。 後続のランナーのことを思うと、何杯モ取れない。 この繰り返しで、体内の水分が不足した。 

 15キロ過ぎ坂の上り。 エンジェルさんは、抑えているのか、坂の上りが遅い。 ここで、自然と前の出てしまった。 追いつかれると思ったら、追いつかれない。 そのまま行ってしまった。 しかし結果は、・・・・ 信じると決め込んだランナーより、ハーフより手前で前に出てはいけなかったのだ! これも、後から思ったこと。

 それでもである。 16キロ過ぎ、道は下り傾向になっても、キロ4分30秒を維持できない。 あれえ、おいかしいな、と思った。 距離表示の間違えではないかと思った。 主観的には、同じペースで走り続けているのだ。

 20キロ通過は、1時間30分27秒(ラップ22分55秒)

 この20キロの時計を見て、今日の調子おかしいと悟った。 ここで失速が始まるようじゃ、異常事態だ。 目標を3時間15分に繰り下げた。 残りのハーフ、ハーフマラソンのレースとやるつもりで行こう。 ウォーミングアップをしているつもりになって、後半を迎える心の準備をした。

 ハーフ通過は、1時間35分30秒(ネット同35分09秒) 

 さあ、ハーフマラソンスタート! 最初は、ゆっくり抑えていって・・・ と思ったら、本当に遅くなってしまった。 まわりから、ごそっと抜かれた。 23〜24キロは、キロ5分を超えてしまい、笑うしかなかった。 

 あせっても仕方ないので、立て直すこと、省エネとリズムを心がけた。 主観的には、失速感はなかったので、そのうち徐々にあげて、30キロ過ぎには、いつものように、がんがん抜いていく自分を想像した。 どうぞお先に、そのうち追いつきますからと。
 
  予想とおり、25キロを過ぎてから、キロ4分台に回復し、逆にまわりのランナーを抜き始めた。 このままずっといけそうだと思ったし、そのままいけばよかったと思う。 しかし、である。

 28キロあたりだっただろうか。 再びエンジェルさんに追いつかれ、それから、今日は初対面の髭さんに抜かれた。 丁度、残りの距離の計算をして、このままだと、3時間15分切りが危ないと計算をしていたことろだったので、渡りに舟とばかり、髭さんに付かせてもらった。「目が覚めた!」と言って、精神高揚にランクを上げた。  一気にキロ4分30秒ペースに近づく。 エンジェルさんも後ろに離し、30キロ手前で失速を始めた髭さんを後ろにした。

  30キロ通過が、2時間18分09秒。 3時間15分が微妙。 4分36秒でいけば確実、4分40秒では届かないカ?

 30〜31キロは、4分33秒。 よっしゃー、この調子で押していけばいい。 と思ったら、次は、4分45秒でがっかり。 次の距離表示がおかしくて、5分02秒と4分20秒。 微妙だが、3時間15分は、やや苦しい。
 その時、「やっと追いついた」 目が覚めた!」とエンジェルさんに追いつかれた。 すでに、かなり速度差があった。 一気に抜かれそうになったが、「一緒にいきましょう!」とエンジェルさんに言われて、瞬時に「ハイ!」と答えていた。 そう言われて、日本男子、置いていかれるわけにはいかない。 それに、相手は、風の抵抗を受ける、羽付きノハンディがあるのだ。

 こうなったら、いけるところまで行ったる。 と、理性を失った。 1キロ4分25秒に飛躍した。 一度、引き離されそうになったエンジェルさんの背中まで行った。 だが、すでに、息はぜいぜい、そこで、THE ENDだった。 エンジェルさんは、羽をつけた天使のように、軽々と走り去っていった。

 反動は、すざましかった。 次が5分47秒で、そして、37〜38秒は、7分00秒かかったのだ。

 身体全体から、水を欲しがっているのに気がついた。 そう思ったら、次の給水所までが遠かった。 とにかく、水が欲しい。 これは、脱水になりかけているのではと思った。 自分のポリシーとして、1分1秒でも速くゴールすることを目指す。 たとえ失敗レースでも、その中で全力を尽くすというのをモットーとしている。 しかし、今日は、まず、生きてゴールすることが最優先だと思った。 家族もいるし、倒れてなんていられない。

 やっと、ついた給水所では、「脱水になりそうなので」と断って、水をコップ4杯いただいた。 幾分、生き返った。  

 40キロ通過が、3時間11分49秒。 

 最後の直線道路。 ベストを出した時はヴィクトリーロード。 今は死のロード。 ラスト500mぐらいで、ASAYANさんに「がんばって」と声をかけられ抜かれる。 

 ラスト300m。 ようやく倒れないことを確信してから、渾身のスパートをかける。

 ゴールタイムは、3時間25分39秒(ネット同25分18秒) 

 久々にやってってしまった。 ここまで大きな失速は、2年前の掛川以来だ。 マラソンは、何度やっても、奥が深い。

 エンジェルさん、来年も羽をつけてかすみがうらを走ってください。 来年は元気に付いていけるよう、精進します。


距離 通過タイム ラップ コース
〜 スタートライン 0:00:21 - 35歳以上は、一般扱い
〜 5km 0:22:36 0:22:15 常磐線を越え登り傾向
〜 10km 0:45:00 0:22:24 ゆるやかなアップダウンあり
〜 15km 1:07:32 0:22:32 ゆるやかなアップダウンあり
〜 20km 1:30:27 0:22:55 もうひと山
〜 中間点 1:35:50 - 城の形の郷土資料館がハーフの目印
〜 25km 1:55:07 0:24:40 以降平坦な道
〜 30km 2:18:09 0:23:02 この辺りから私設エイドあり
〜 35km 2:41:14 0:23:05 同上
〜 40km 3:11:49 0:30:35 同上
〜 ゴール 3:25:39 0:13:50 会場へ最後の遠回り