2010.10.10 新潟シティマラソン 完走記

 新潟マラソンコースの全面リニューアルのニュースを知って、迷わずエントリーを決めた。新コースは、新潟のへそ、古町を通り、信濃川にかかる新潟の象徴、万代橋(ばんだいばし)を渡り、リバーサイドとシーサイドを堪能するコースである。
 私としては、秋のメインレースと位置づけ、あわよくばサブスリーなどと当初は考えていたのだが、夏の練習が思うように進まず、ビッグレースと思っていた全日本マスターズ選手権の5000mも、やっとのことで、19分14秒51秒。直前の練習でも、10kmで40分が切れず、これはどう考えても、目標タイムは、天候が晴れなら3時間15分、曇りか雨なら3時間10分だな、と思った。

 新潟マラソンは相性の悪いコースである。過去3回のタイムは、3時間39分07秒、3時間21分07秒、3時間27分43秒。いずれも、終盤撃沈してふらふらになっている。今日は、絶対的なタイムはどうであれ、最後までしっかり走る、レースを組み立てるといのを最大のテーマとした。

 

 前日に新潟入りして前日受付を済ませた。当日受付もあるが、スタートが8時30分に早まったので、首都圏からの日帰りは不可能だ。宿泊は会場から徒歩圏のアパホテル新潟古町。

 7時30分前に会場に着いて、紅白さんと合流。久々の紅白さんとの再会だが、のんびりマラソン談義をする暇もない。すでにスタート1時間前で、荷物預けの長い列ができていて、とにかく急がなくっちゃ。荷物を預けたら、トイレ。そして、30分前頃には整列位置へ。陸上競技場のトラックスタート。しかも、内側4レーンがフルマラソン、外側4レーンが10キロレースの同時スタート。「早く行ったほうがいい」という紅白さんの意見は正解だった。おかげで、最前列から5列目あたりを確保。

 雨の天気予報ははずれ、日が差し始めて来た。風は無風に近かった。スタート時、主催者発表、気温21度。

 スタートロス 03秒
 紅白さんがすごい勢いで飛び出して行った。付いていこうかと迷う時間さえなかった。自分はマイペースを決め込む。
 旧新潟マラソンは、競技場を出ると西へ、つまり街から遠ざかっていく。街のほうへ向かっていく。これは、ちょっと感動である。
 1キロのラップは、4分39秒、新コースになって、距離表示が5キロごとから1キロごとに変更になった。これはありがたい。それにしても、4分39秒とは?ちょっと、のんびりし過ぎたかな?と、若干、ペースを上げた。

 西堀通りを右折して、征谷小路へ。そして、古町の交差点。ここは、東京でいえば銀座三丁目、札幌でいえばすすきのである。ここを走れるのは感動もの。新潟市長さん、ありがとう、新潟市民、ばんざい!

 それから、万代橋。走るとあっという間。コース最大のハイライトは、ものの数分で過ぎていった。まさに、新潟夢マラソンである。

 万代シティ前を右折して、ここから、郊外に向かっていく。走りのほうは、まずは、様子見。残り距離を体感で予測いながらペースを作っていった。

 5キロ通過 23分24秒 (ラップ23分21秒)
 23分超えかあ。予想より悪いなあ。しかし、自分の身体に正直に従った結果なのだから、これは、現実として受け止めなければならない。後半の巻き返しを心に誓って、ここは、このペースキープで行こう。今日の目標タイムは、3時間15分だ。

 このあたりで、マスターズ陸上でご一緒しているHさんに抜かれた。Hさんは、主に短距離をやっている先輩選手。短距離の人に抜かれるようじゃなあ、ちょっとしょげた。でもやっぱり、こっちは専門だい、と気を取り直し追いつき、近況をおしゃべりしてから、先に行かせてもらった。私のほうからは、「今日は3時間15分で行く!」と宣言しておいた。こういう宣言は大切。言葉で誰かに言ってしまうことで、その目標の意味は高まっていく。

千歳大橋で再び信濃川左岸に渡り、
 10キロ通過 46分52秒 (ラップ23分28秒)

 相変わらず、ラップは上がらない。でも、ここでは、まだ、がんばるところではないので、あせらず、流れに乗っていく。

 関屋大橋で関屋分水路を渡り、景色は、新潟市郊外のベッドタウンといった感じ。沿道からの応援はありがたい。

 15キロ通過 1時間10分23秒 (ラップ23分31秒)
 5キロを23分で行くと、ゴールは3時間14分06秒。したがって、3時間15分を目標にする場合、5キロ23分=1キロ4分36秒に対して、プラス・マイナスで考えていく。この時点で、マイナスが、1分23秒。さすがにまずいかな、という思いと、勝負はまだまだ、という思いが交錯していった。

 18キロ過ぎに、全コース最大の難所、400mの長さで、標高差25mを登る坂がある。もうこれ以上ペースは落とせない。ということで、登り坂にもかかわらず、平地のペースで進んだ。最近の私は、完全の登り坂が得意となっているので、息が上がることはない。ハーハーいってペースが落ちているランナーを横目に、構わず進んでいった。最大難所区間の1キロを4分37秒でクリアした。

 ここで、折り返しがあるので、紅白さんの位置がわかるかな、と思ったが見えなかった。1キロ半以上、先に行っているようだ。

 20キロ通過 1時間33分34秒 (ラップ23分11秒)
 ここから、新潟大学のキャンパスに入る。北海道マラソンの真似かな。それにしても、新潟大学もけっこう広かった。地方の国立大学っていいなあ。

 中間点 1時間38分30秒
 ひゃー、決してふざけてペースを落としているのではないのにこのタイムとは!目標3時間15分のためには、ネガティブスプリットが必要。できるか?目標を3時間20分に下げようか?ひょっとして、3時間21分07秒の自己新潟記録の更新も危ない?

 新潟大学を出て、一気に坂を下る。下り終わると見覚えのある風景。そうだ、旧新潟マラソンの30〜37キロが、新コースの23〜30キロに重なるのだ。海岸線に沿ったこの道は、日陰が一箇所もなくい、日干しのロード。過去の大会で、私はいつも、この区間で力を奪われていく感覚となった。長く続く直線路は、目の錯覚なのか、どこまでも、緩い登り坂のように見える。

 今日も天気は晴れ。嫌な予感がしないでもなかったが、旧コースより7キロも手前のこの区間があることで、幾分、楽に感じた。坂を下った勢いもあって、キロ4分30秒ペースに上がってきた。とにかく、5キロ23分ペースに追いつかなくては、3時間15分勝負にならない。

 確かに、このレースの直前に練習では、10キロを40分切れないひどい状態であったけれど、ひどい、というのはサブスリーを基準にした場合である。10キロ40分17秒で走れていたのだから、3時間15分は切れるはずだ。切れないとすれば、気持ちで負けているんだ。自信を持っていこうと思った。

 25キロ通過 1時間55分52秒 (ラップ22分18秒)
 さあ、キロ4分30秒ペースに上がってきた。この位置でペースを上げるのは、最後まで持つかどうか、危険な賭けではあるけれど、もう身体が動き出した以上、このまま行くしかない。30キロ地点で、5キロ23分ペース=2時間18分に追いつきたい。

 30キロ通過 2時間17分47秒 (ラップ21分55秒)
 29〜30キロが、3分57秒でおかしかったが、逆にそれ以前で時間がかかった区間もあったので、全体としては正しいのだろう。結果として、30キロ地点で、5キロ23分ペースにおいついたので、よっしゃーという感じになった。

 でも、もちろん、マラソンレースの本領はこれから。戦いに備えて、給水所で、スポーツドリンクと水を2杯ずつ取った。水こそ命。以前のレースでは、1人1杯が暗黙のルールかと遠慮していたこともあったが、現在は、好きなだけ取るべし、という考え方に転向している。水さえあれば、大きく失速することはない、という、過去の経験からの確信がある。

 なお、この大会は、すべてのフルマラソンのランナーがスペシャルドリンクを置ける。エリート気分で走れる貴重な大会だ。でも私は、視力が弱いこともあるし、スポーツドリンクにこだわりがないので、置かないことにしている。何より探す時間のロスタイムが惜しい。

 ここから先の海岸線は、新コース。海岸沿いに隆起している地形を知っていたので、もう少しアップダウウンがきついかと思っていたが、それほどでもなかった。護国神社付近の森林は貴重な日陰部分がある。いつペースが落ちるか不安になりつつも、もう行くしかない、ペースキープだ!

 35キロ通過 2時間40分26秒 (ラップ22分39秒)
 5キロ23分ペースに対して貯金34秒。目標タイムを3時間14分台から13分台に上方修正した。

 36キロ付近、信濃川河口で折り返し。景色を期待していたが、フェンスに囲まれたようなところだった。

 折り返して気づいたこと。それは、風だ。今までそれなりに快調に走っていると感じたのは、風が背中を押してくれたからだったのだ。さあ、残り5キロちょい。風との戦いも始まった。

 距離j表示が残り5キロから、「残り・キロになるので注意が必要だ。38.39.41.42キロは表示がない。

 旧新潟マラソンと違い、最後のリバーサイドの道が、サイクリングロードということはない。一般道だ。ただ、歴史博物館(みなとぴあ)のところで、100mぐらい木道の部分がある。

 その、みなとぴあのところで、前方に、何と、紅白さん発見。あんなに勢いよく飛び出しいったのに・・・オーバーペースだったのかな?
みるみる差を縮め逆転。何と声をかけたらいいのかわからなかったので、「ファイト!」とだけ一言。

 といっても、紅白さんが特別に失速したわけではない。周りはみんな同じ感じ。こっちがイーブンペースを保っている分、相対的にすごく速くなっているのだ。中間点以降は、抜きっぱなし状態だったが、ただ、ひとり、ある緑シャツのランナーだけは、抜くと抜き返きて、「がんばりましょう」と声をかけられ粘られた。40キロ手前という苦しい場所で、こういうランナーの出現は助かる。と同時に、絶対、負けないぞ、という気になった。

 40キロ通過 3時間03分07秒 (ラップ22分41秒)
 目標タイムを、3時間13分台から12分台に再度上方修正。

 最後の給水は、予定どおりパス。その機にスパートをかけて、緑シャツさんを振り切った。

 最後、右折して、前方に、目標になる女性ランナーがいた。あそこまで追いつこうと思ったが、その女性もラストスパート態勢に入ったようで、なかなか差が縮まらない。競技場に入って残り400m弱。全力で行けば追いつけたかもしれないが、ラスト直線で抜くのもなあ、ということで躊躇して、そのまま、ゴール

 ゴール 3時間12分34秒 (ラップ9分27秒)



 

 ネットタイムで、前半1時間38分27秒、後半1時間04分04秒。初めて、新潟マラソンで撃沈せずに走れた。現在の走力にして、このタイムは満足である。賢く走れたレースだと思う。

 ゴール後、紅白さんと合流し、市内をぶらぶらして帰った次第である。


距離 通過タイム ラップ コース
〜 スタートライン 0:00:03 - 新潟市陸上競技場
〜 5km 0:23:24 0:23:21 古町を通り、万代橋を渡り信濃川右岸へ
〜 10km 0:46:52 0:23:28 千歳大橋を渡り信濃川左岸へ
〜 15km 1:10:23 0:23:31 関屋大橋で関屋分水路を渡る
〜 20km 1:33:34 0:23:11 標高差25mの坂を登り、折り返し
〜 中間点 1:38:30 - 新潟大学キャンパス
〜 25km 1:55:52 0:22:18 坂を下り海岸線へ
〜 30km 2:17:47 0:21:55 日陰のない海岸通り関屋分水路まで
〜 35km 2:40:26 0:22:39 海岸線を信濃川河口まで、折り返し
〜 40km 3:03:07 0:22:41 信濃川左岸を上流へ
〜 ゴール 3:12:34 0:09:27 新潟市陸上競技場