2012.02.26 東京マラソン 完走記  

 2007年から始まった東京マラソン。第1回と第2回に当選して出走、その後3年間、落選。基本的に、東京マラソンは出られないものといてシーズンの計画を立てるので、1週間前の青梅マラソン(30k)にエントリーしてしまっていた。迷った末に青梅は出走、結果は意外とよく、2時間06分54秒(ネット同31秒)だった。昨年11月に左脚ふくらはぎを痛め、ようやくハーフマラソンで90分が切れる状態まで回復してきたところだったので、タフなコースで、30キロまでサブスリーペースで行けたのは嬉しい誤算だった。さて、青梅の疲れは抜けているだろうか。

 今回のレース、昨年の別府大分の3時間04分35秒(ネット同20秒)を、自分にとっての勝敗ラインとすることにした。思えば、昨年は、大震災や義父の病気などで、十分な練習ができず、年間を通して10キロ40分切りができなかったし、富士登山競走もキナバル山のクライマソンも、山頂には行けたが、制限時間内完走が果たせなかった。おまけに、11月にはふくらはぎを痛め、つくばマラソンでは、自己ワーウトの3時間56分52秒(ネット同40秒)を記録するまで、走力が落ちた。ようやく、12月から元の練習ができるようになり、1月は、久々に月間300km以上を走り、回復途上にあるのだ。昨年の別府大分を超えることは、震災の前の自分に戻ることを意味する。さて、達成できるだろうか。

 天気は曇り。風弱く、最高のコンディション。 少し、寒いくらい。

 7時10分に現地着。 まず、1回目のトイレと荷物トラックの確認。 トイレは、まだ、全く並ばずに使用可能だった。
 8時過ぎに、スタート位置の整列開始だが、周りを見ていると、動きが早い。予定より早く、最後の給水(アクエリアス)とチョコを2かけら口にして、7時50分には、荷物を預け、ランシャツ。ランパン・グローブ・ウォッチに、スタート地点で捨てるビニールカッパと携帯カイロ2つだけになった。ここで、最終トイレは、待ち時間5〜10分程度だった。 もっとも、ブロック別に入った先にもトイレがあり、こちらは、待ち人ゼロだったので、お勧めある。

 Aブロックに到着した時は、すでに10列目ぐらいだったろうか。みんな、座り込んでいた。中には、しっかり防寒を着込んでいる人もいた。隣にいた2人組みがいろいろおしゃべりをしていたので、途中からは会話に入らせてもらった。でも、多くのランナーは、黙って、その時を待つって感じであった。

 カッパを着ているとはいえ、私はトイレが近いほうなので、シャツの腹の部分の携帯カイロを貼って、できるどけ冷えないようにした。雨でなくて本当によかったが、天気予報の晴れを当たらず、曇り空で寒かった。隣の2人組のひとりは、携帯トイレを持っていたようで、服の下に隠してそこで用を足していた。なかなかやるな。周りも少し匂うし、勇気がいるけど、数年に一度当たるビッグレースを台無しにしなくてすむ。

 トイレ問題のために、朝からの給水も控えめにしていたが、やはり、この1時間で、尿意を感じてきた。普段なら、5キロ地点から、少しずつ給水を取る主義なのだが、今日は、ハーフまでは取らないほうがいいな、と思った。このことは、レーウ終盤の失速につながった一因だと思う。

 3分前に、カッパを携帯カイロを道路脇に捨てて、待ちに待った号砲!
 スタートロス 08秒
 
 当然、前のほうに並んだ者の義務として、最初は飛ばす。入りの1キロは、ネットでちょうど、4:00!

 新宿の靖国通り、車を追い出してランナー天国。そして、沿道の人垣。感動のあまり、目がうるうる来てしまった。まだ、完走もしていないのに、ここを走れる喜びは、最高だ。

 1キロを過ぎて、気持ちペースを落ち着かせ、キロ4分11秒。

 旧厚生年金会館の場所を越えると、いよいよ下り坂。富久町が最も急な下り、一気に市ヶ谷の防衛省まで下る。途中、3キロ地点のチェックを見落とし、果たしてどの位のペースだtろうか?と思っているところに、後ろからホッケさんに声をかけられた。スタート位置の差かもしれないが、ホッケさんから、この地点まで逃げていたのだから、いいペースかな、と思ったら、その通り!4キロ地点で、グロス16分41秒を確認して、これは、行くしかない!さあ行こう!サブスリーペースで押しまくれ!という気持ちになった。

 5キロ通過 20分52秒 (ラップ20分44秒)
 水道橋から、あっと言う間に皇居端へ。背中に「ながい歯科」と書かれたピンクのウェアを着たランナーがいた。ひょっとしてまゆみさん?別人だったらまずいなあ、と思いつつ、声をかけたら、その通りだった。この位置にいるのは、きっと練習だろうと思い、「名古屋のための準備ですか?」みたいに聞いたら、けっこう、一生懸命走っているといういうことだった。

 10キロ通過 42分20秒 (ラップ21分28秒)
 今日は、サブスリーぎりぎりのペース狙い。これでいい。
 途中、大江戸飛脚会のやささん達の応援を沿道でいただいた。ありがとう。

 15キロ通過 1時間03分39秒 (ラップ21分19秒)
 OK,OK。でも、どこまで持つか、やっぱり不安。

 品川で、折り返すと、若干の向かい風、キロ当たり2秒位、落ちる。それでも、今日位の風なら、ラッキーだ。文句ない。

 20キロ通過 1時間25分06秒 (ラップ21分27秒)
 20キロの給水所で、初めてドリンクを取った。この大会の給水は、水とアミノバリュー。当然、アミノバリューを選ぶ。走り初めに気になった尿意は、そのまま、治まってきていた。

 中間点 1時間29分47秒
 隣で走っていた外国人2人が、英語で、「Sub three...」と話をしていた。やっぱり、サブスリーは万国のランナーの目標なんだよなあ、と思う。ただ、中間点を通過した時のタイムのチェックが違っていた。「twenty-nine twenty-four!!」ーーつまり、自分のネットタイムをチェックしているのだ。世界標準はネットタイムと聞いていたし、ソウル国際マラソンでも、グロスタイムは計測さえされなかった。移民マラソンでは、ネットタイムが正式で、グロスタイムが参考とするのが理想だと思うが、日本では逆、私もやはりグロスタイムを基準にしてしまう。。

 せっかくだから、この外国からのランナーに英語を話しかけてみようか、とも思ったが、翻訳する頭を使うのがもったいないので止めた。

 22キロ手前で、風船をつけた、3時間のペースランナー3人が率いる大集団に飲み込まれた。中間点の手前から、沿道から「3時間」という言葉が耳に入ってきたので、タイムテーブルがわかるなんで、けっこうマラソン通が多いな、と思っていたのだがそういうことだったのか。

 実は、3時間のペースランナーが走ることは知らなかった。正直、自分としては、ペースランナーはそれほど歓迎ではない。けっこう、ペースむらがあるし、自分のペースで走れない。それに混み合って走りにくい。それでも、この7状況で、この集団から遅れることは、サブスリーが絶望になることに他ならないので、ここは、付くしかない。「3:00」の背中のゼッケンに、ぴったい付いた。

 25キロ通過 1時間46分10秒 (ラップ21分04秒)
 サブスリー集団の中で、ペースがいい感じで上がっていた。それでも、あまり無理な感じがなかった。このあたりでカズUさんが応援するということだったので、注意していたが気がつかなかった。

 ペースランナーのすぐ後ろを走っていたのでが、ちょっと油断すると、前にランナーが入って来る。浅草の雷門の折り返しては、ちょっと、失敗して、10mくらい離れてしまった。

 それでも、あせらず、距離を詰め、30キロ地点は再びぴたっと追いついた。

 30キロ通過 2時間07分21秒 (ラップ21分11秒)
 サブスリーペースに、38秒の貯金。理想的だ。
 30キロの給水で、走路的に給水が取りにくかったので直進を決め込んだら、隣のランナーがコップを回してくれた。武甲山で一緒だったということで、私からは「あと5キロ我慢できれば、希望が見えてくる。たとえ、少し離れても、ペースランナーは、1分速くゴールするから、諦めないことだ。」というようなことを話した。これは、相手に伝えるというより、自分としての決意表明だった。

 給水を回してもtらったことで、嬉しくなり元気だ出た。ペースランナーの背中にぴったり付いたが、むしろ、遅いなあ、と感じるくらいだった。

 31キロのチェック。時計を見たら、キロ4分24秒。ええっ?? そうか、ここで、ペースランナーは、少し早いと見て、調整に入ったのか。と同時に、周りのランナーも、ごそっと、ペースランナーの前に出始めた。それを見て、ペースランナーもペースを元に戻した。

 一度、落としたペースを元に戻すのは、きつい。5m。10m・・・とペースランナーが離れていく。ああ、ここまでか・・・

 次の1キロも4分24秒で、万事休す・・・という気持ちになってしまった。あと5キロ我慢できれば・・・という決意表明は、たった、10分で崩れてしまった。

 35キロ通過 2時間29分20秒 (ラップ21分59秒)
 35キロ地点で、サブスリーペースから1秒のビハインドになった。数字的には、ラストスパートをかませれば、まだ、サブスリーの可能性もあるはずだが、右足にマメを感じてきたし、ここから始まる橋の登り下りを考えると、とても無理・・・と観念していた。

 それでも、みじめっぱく走りたくないので、せめて、3時間00台、01分台、と目標を持って、ぎりぎりの走りはできていたと思う。

 40キロ通過 2時間52分17秒 (ラップ22分57秒)
 3時間10分台、と最後の目標としたが、41キロ地点の坂は、ものすごくきつかった。明らかに、進まなくなった。

 ラントの直線は、それでもしれなりにしっかり走って、
 ゴール 3時間02分12秒 (ラップ9分55秒)

 サブスリーならず。それでも、当初の目標だった、3時間04分35秒=震災前の自分に勝てた。練習では、1年ちょっとぶりに、10キロで40分が切れたばかり、つい2週間前の赤羽ハーフでも必死こいて90分切りをしたレベルを考えると、十分すぎる成績だったと思う。自己8番目の好ライムだ。これで、満足しなければなるまい。

 ところが、ゴール後、1キロごとのラップタイムを自分の時計でチェックして、しまった!を思った。大失敗である。
 というのは、30〜31キロの「4分24秒」のところ、ペースランナーが調整のため落としたと思っていたのでが、実は、「4分14」秒」の見間違えであったのだ。もし、1を2と見間違えていなかったら、あの区間、楽に感じていたので、「この感覚で、サブスリペース(=4分16秒)を切っているなら、行ける、行ける!」という気持ちになっていたはずだ。それなら、あそこで、ペースランナーに遅れることはんかっただろうし、35キロまで行ければ、もう、このチャンス逃すまいと、馬鹿力が発揮されたかもしれない。

 私の視力が弱いことにもよるが、結局は自信のなさから来たミスだと思う。ペースランナーは、大変優秀であったのだが、以前の経験から、そこを信じ切れなかったことも伏線にある。マラソンは、ただ、走っているだけではなく、こういった心理面が大きく影響する面白いスポーツである。

距離 通過タイム ラップ コース
〜 スタートライン 0:00:08 - 東京都庁
〜 5km 0:20:52 0:20:44 新宿〜市ヶ谷 下り坂
〜 10km 0:42:20 0:21:28 〜日比谷
〜 15km 1:03:39 0:21:19 〜品川 第一折り返し
〜 20km 1:25:06 0:21:27 〜日比谷
〜 中間点 1:29:47 - 有楽町
〜 25km 1:46:10 0:21:04 〜銀座・東日本橋
〜 30km 2:07:21 0:21:11 〜浅草・第二折り返し〜両国
〜 35km 2:29:20 0:21:59 〜銀座・築地
〜 40km 2:52:17 0:22:57 〜4つの橋・東雲
〜 ゴール 3:02:12 0:09:55 東京ビッグサイト